2005年10月20日

運命のお導き(9歳)

マルチェロ’兄貴との結婚を望んだ俺はウェディングドレスを購入した。

その時点で兄貴には俺以外に二人の恋人がいた。
そして俺には眠る直前に告白したチャゴすん王子がいた。
だけどその時の俺には兄貴しか見えていなかった。

ここピーポー荘では複数の恋人がいる場合
結婚は結婚アイテム所有の有無と愛情の深さ、
そしてタイミングで決まる。

ピーポー荘の導きのままに、俺は告白していた。

もう1人の恋人であるチャゴすん王子に。



―どうしよう…!

結婚に対して一切の了承をとっていなかったどころか
知り合ってまだ間もなく互いの事もよく知らないチャゴすん王子。
眠っていた俺をずっと待っていてくれた兄貴…。

どちらに対しても俺は酷い事をしてしまった。


兄貴は俺のせいじゃないと言ってくれる。
チャゴすん王子はおそらく…気付きながらもそれには触れずに結婚を受け入れてくれた。

確かにこれはピーポー荘のシステムによる所が大きい。
だけど俺は自分で自分が許せなかった。


こうなったのなら家庭を大切にするべきなのだ。
チャゴすん王子の事だって自分から告白したくらいなのだから
決して結婚を全く考えられない相手などではないし好意を抱いている。
だけど今の俺の心中はマルチェロ’兄貴の占める割合が大きくて

会いたかった。

ピーポー荘においては結婚後も恋人がいる事は珍しくない。
恋人なのだから堂々と会いに行けばいいのだ。
だけど俺はどこか後ろめたくて

「教会に行って来る…子供達に作ったお菓子分けてくる」



桃のコンポートを手に向かった先は教会ではなくマルチェロ’兄貴の部屋

「桃味…」
「マルチェロ’兄貴…」
兄貴の顔を見た途端に子供のように泣き出して
ごめんなさいとか別れたくないとか叫んでた。
兄貴はそんな俺が泣き止むまで抱きしめて慰めてくれた。
どうすればいいんだろう。やっぱりこの想いをあっさり消す事などできない。


涙の跡をしっかり消してから部屋へと戻る。


戻った俺が目にしたものは
「家…?」
チャゴすん王子が家を買っていてくれたんだ。
「大きなお家…チャゴすん王子、ありがとう」
俺は長く眠っていたせいもあって年齢の割に収入が少なかった。
だから家の事なんてまだ考えてもいなかった。

新しい家の中を見て回る。
新築だけあってどこも綺麗。そして今日から俺の住居になる場所だ。
最後に辿りついたのは寝室。

「どこに行ってたの?」
それまで中を案内してくれていたチャゴすん王子の声色がほんの少し低くなる。
「え?教会に…」
「さっき教会の神父さんがここの前を通ったんだ。
 聞いたら今日は君、来てないって言ってたよ」
「!」


「あの人の所?」
俺は何も言えず俯く。それ自体が肯定の証となる。
「…ごめんなさい」
「何でっ…」
酷く苦しそうな声。当然だ。
謝ろうと顔をあげた瞬間にそのまま背後の寝台に押し倒された。

「王子っ…!」
恐かった。だけど抵抗なんてできる筈がない。
自分のやった事はこんな事よりずっと重くて残酷。

「僕より前から付き合ってきた君の大切な人だったって知ってる。
 会うななんて言わないよ。お付き合い続けるななんて言ってないだろ。
 でもどうして、嘘までついて会おうとするのさ…」

その通りだ。何ひとつ言い返せることなんてない。

「ごめん」
「……」
俺は自分から彼を抱き寄せた。
「王子の言うとおりだよ。俺まだ兄貴の事引きずってる。
 でもあなたと一緒に幸せな家庭を築きたいって思ってるのも本当なんだ」
本当何て自分に都合のいい、わがままな願いなんだろう。
二人にどれだけ詫びたって詫びきれない。
もっと俺が大人なら、上手く立ち回る事ができたのだろうか…。
誰も傷つけずにすんだのだろうか。


そのまま俺達は愛を深めて、その日のうちに俺の中には新たな命が誕生していた。

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posted by くくーる桃味 at 20:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月19日

目覚めの時(8歳)

世界に光と音が戻ってきた。
待ち望み、その一方で怯えていた目覚めの時。
俺を待っていてくれる人はいるのだろうか。それとも…。

「あ…」

1人じゃない。この手を包み込むあたたかな手

忘れる筈がない。
眠りについた時と同じ人のぬくもり。

待っていてくれた。


「マルチェロ’兄貴、待っていてくれたんだね。
 本当に…待っていてくれたんだ…。
 兄貴…俺もうこんなに眠ったりしないよ!
 傍にいてくれてありがとう。」

もっと自分だけの言葉でこの喜びを伝えたいのに
出てきた言葉はありふれた言葉

そんな俺に兄貴はもっと嬉しい言葉をくれた。

その言葉に応えて俺はドレスを購入し、その後兄貴がリングを購入した。
ピーポー荘での結婚にはこれが必要なのだ。

あとは時を待つだけなのだけど…。


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posted by くくーる桃味 at 18:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月14日

暫しの眠りの時間へと(3歳)

マルチェロ’兄貴はすぐに返事をくれた。

…俺が目が覚めた時も傍にいてくれると。

嬉しかった。悪いと思いつつ、それでも俺は嬉しかったんだ。
貰った手紙を何度も読み返して宝箱に大切に仕舞って
俺もまた返事を書いた。
書いている最中にゆるやかな眠気が襲ってきた。
もうすぐ…眠りの時が訪れる。

まだ出かけられるうちに買い物をしておこうとピーポー荘を出て
起きた時用の食料を買い込んで部屋の扉をあけた。

「あれ?」
部屋の中には誰かがいた。
何かを膨らませていた。ビニール袋のお人形…?
「…お客さん?」
「え?」

そういえば内装が違う。俺もしかして部屋間違えた?
「ここって11号室じゃない…?」
「12号室だよ」
1階間違えてた!
「すみません!部屋間違えたみたいで…」
「ああ、そうなんだ…わあ!」
膨らませていたビニール人形の空気が抜けてこっちへ飛んできた。
「わっ!」
「ご、ごめんね!ああ…せっかく膨らませたのに…」
面白いなあ。俺の部屋の一つ下にこんな方が住んでたんだ。
「俺ひとつ上の階のくくーる桃味。良かったらまた遊びに来てもいい?」
「僕はチャゴすん。こちらこそよろしくね」

それは世間で言う告白って奴だったみたいで。
俺の恋人欄には彼の名前が増えていた。
本当はもっと話もしたかったけど今の俺には時間がない。


部屋に戻って、俺が伝えていた時間の少し前に兄貴が来てくれた。
二人で一緒に今度はどこにデートに行こうかなんて話して。

そうして、目を開けているのさえ辛くなってきた頃。
限界が来たと悟った。眠りの時が来たと…。
気付いた兄貴は寝台の方まで運んでくれた。

次に目覚めた時、まだ兄貴は傍にいてくれるだろうか…。
どんなに兄貴が思ってくれてもピーポー荘にはピーポー荘のシステムがある。
本当は不安で恐くて仕方なくて。
だけどそんな兄貴を信じていないような素振りは見せたくなかったから。

「兄貴、俺が眠るまででいいから手を握っていて欲しいんだ…」

最後の時まで兄貴が傍にいると感じていたかった。
兄貴は俺を安心させる優しい言葉と共に手を握ってくれた。

「…おやすみなさい…」



そうして俺は、約6年間の長き眠りに入った。




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posted by くくーる桃味 at 22:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月13日

相反する気持ち(2歳)

それからもマルチェロ’兄貴とのデートは続いた。
ラパンハウスでは無理を言ってキラーパンサーに乗せて貰ったんだ。
二人乗せてもスピードが落ちないらしいキラーパンサーには驚いたよ。
…兄貴と一緒だから恐くはなかったけどさ。
他にもいろんな場所にデートへと赴いた。
充実した時間。求めていた愛する人と過ごす日々
その最中で兄貴は甘いものが好きなんだと知った。
俺も甘いもの―お菓子なんかが特に大好きで
好みが似てるのかなと思うと嬉しくなった。
そこで初めてクッキーを作ってみた。気にいって貰えるかな。
そのクッキーと一緒に俺は手紙を書いた。
俺が眠りに入ってしまうのを伝える為だ。

「…それで、これは伝えづらい事なんだけど伝えないわけにはいかない事なんだ。
俺、2年後から数年間は眠りに入ってしまう。
兄貴の声も聞こえなくなって何の反応も返せなくなる
…俺がここに来たばかりの頃に独身でいたいって言った理由。
本当は落ち着いた体になるまで恋人を作るべきじゃないって思ってたんだけど、
我慢できなかった。この先どうなるか分からないけど、
だから兄貴にはいつでも傍にいる恋人も見つけて欲しい。
兄貴もてるからすぐに新しい恋人も出来ると思うけどね。」

実は兄貴に届けた手紙は2通目。
全く同じ内容の1通目は涙が便箋に染み込んでしまったから破棄した。
俺以外の恋人を作って、なんて書くだけで辛い。

だけど、傍で笑う事もできなくなる俺で束縛したくはなかった。


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posted by くくーる桃味 at 15:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月12日

はじめて愛を深めた日(1歳)

モモパンダの行動で肩の力が抜けた俺は駄目元でマルチェロ’さんに告白した。
結果は…信じられない事にOKを貰ってしまった。
受同士だけど、いいのかな。
優しい人だから俺が傷つかないようにって恋人にしてくれたんじゃ
…いけない。
どうも俺にはすぐ愛されていないと思いこむ悪い癖がある。
俺を誕生させた「中の人」が言うには最初の子から受け継がれている悪癖らしい。
そんな悲しい思い込み癖は俺で断ち切りたい。

デートに行く事になった。
場所はリブルアーチ。俺にとっては初めてのデートだ。
緊張したよ。マルチェロ’兄貴も緊張していたみたいだって後で気付いた。
その時はそれにも気付けない位に緊張していた。
リブルアーチの沈み行く夕日に二人で目を奪われる。
ふと、こちらを見られている気がして兄貴の方に視線を移した。
…気のせい?
そうだよな。兄貴はこの綺麗な夕日を見つめていた筈。
…夕日より兄貴を見ていたいな…。
気付かれませんようにと願いながら俺はその後ずっと兄貴の方を見ていた。

日が沈みきるまで結局その場所に二人で立っていて
暗くなったその後はどちらから言い出すでもなく自然と宿屋へ向かった。


【以下カップリング要素の強い文章につき注意】


遅くに入った為に部屋はひとつしか取れなくて。
…恋人同士だからひとつが普通なのかな。
仕組まれていたかのように寝台はひとつっきりで。
だったら二人で使うしかなくて。

どちらからそういう事をしようって動いたのかは覚えていない。
当たり前のように俺達は互いに触れ合って、愛を深めていった。
受同士な為かもしれないけど、その行為は穏やかで優しい時間


満たされる、ってこういう事なのかな。
このままずっと一緒にいられたら…。


…ずっと…?

そこまで考えてようやく自分の立場を思い出した。
―俺はもうすぐ眠りに付くのに。何をやっていたんだろう。
この人を6年も待たせるのか?
彼は多くの人から好かれていて
他にもお似合いの…素敵な人がたくさんいるのに。
…伝えなければいけない。目が覚めたら伝えよう。
その結果が呆れられて傍にいて貰えなくなるのだとしても…。

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posted by くくーる桃味 at 02:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月11日

ペットはモモパンダ(0歳)

ピーポー荘に入居し、神様から引越し祝い金を受け取った俺は
ペットを飼う事にした。
たくさんのペットがいる中で選んだのは耳が桃色のパンダ。
パンダなのに桃が大好きらしいその子にモモパンダと名付けて
早速部屋に連れてきた。
最初は不安そうに周囲を見ていたけれど、
すぐに慣れたらしく日当たりのいい窓辺で桃を食べていた。
ここを気にいってくれたみたいで良かった。

落ち着いて周囲を見渡すと気になる人ができました。
(住人に惚れるのはピーポー荘に住んだ者の宿命らしい)
上の階に住むマルチェロ’さん。
どうやら彼に恋煩いしているのは俺だけじゃないらしい。
…諦めたくはないから、告白してしまおうかな…。
いけない。眠りにつくまでは恋をしないでおこうと思ったのに。
モモパンダが彼のペットの孝之さんにプレゼントを贈ったらしい。
飼い主もペットもあのお宅が気になるのかと思うと
何だかおかしくなって肩の力が抜けてしまった。

posted by くくーる桃味 at 12:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

はじめまして

鏡の中には知った顔。
この顔の名前はククール。俺はククール属性というものにあたるらしい。
違うのは、桃味という名前にちなんだのか桃色のリボン
ゲームの俺は確か黒のリボンなのに。
俺が桃色のリボンなんておかしくないかな。

はじめまして。くくーる桃味です。

ピーポー荘。出来たばかりの綺麗な建物。
告知を見た時から待っていた。
いつかはここに住みたいって思っていたんだ。
だけど今はまだその時じゃない。
俺はもうすぐ眠りについてしまう。
約6年間の眠り。住み始めてすぐの人生の中の6年間
貴重な時間だ。
俺にとっても、もしも恋人が出来たらその人にとっても、だ。
だから眠りについたその後に住んだ方がいいに決まってる。
分かっていたんだ。頭では分かっていた。

ピーポー荘を眺めていると次々と住人が増えていく。とっても楽しそう。
中ではどんな事が行われているんだろう。どんな人達がいるのだろう。
気付けばまだ行うべきではなかった筈の入居手続きを済ませていた…。

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posted by くくーる桃味 at 11:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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